独立行政法人水産総合研究センター「北海道区水産研究所」

平成23年度さけます関係研究開発等推進会議

さけます関係研究開発等推進会議報告書

1 会議日時及び場所

  • 平成23年8月17日(水)9:00〜17:15
    • (さけます関係研究開発等推進会議−研究部会    9:00〜14:00)
    • (さけます関係研究開発等推進会議−成果普及部会 14:30〜17:15)
  • ホテルライフォート札幌(札幌市中央区南10条西1丁目)

2 出席者所属機関及び人数

  • さけます関係研究開発等推進会議−研究部会:19機関 65名
  • さけます関係研究開発等推進会議−成果普及部会:68機関 201名

3 結果の概要

さけます関係研究開発等推進会議−研究部会
議題等 結果の概要
1 平成23年度さけます関連調査研究計画  水産総合研究センター第3期中期計画のさけますに関する研究課題について、水研本部研究推進部から情報が提供された。
 さけます関連調査研究計画について、各道県の試験研究機関から提出された平成23年度研究開発課題および水産総合研究センターの平成23年度研究開発課題を一覧にして報告した。
 また、各試験研究機関が行った平成22年度の標識放流結果と平成23年度の標識放流計画について北海道区水産研究所から報告され、情報漏れがあった場合にはさけます資源部に情報提供を行うことが確認された。
2 日本系サケ資源状況の把握と変動  日本系サケ資源の変動に関する検討素材として、サケ来遊数の経年変化や地域別の来遊傾向、高水温がサケに与える影響等を紹介し、日本系サケ資源の現状認識について、各道県と意見交換を行った。その結果、資源水準は高水準だが変動期に入ったこと、2010年の来遊数の減少が「2006年級の低水準」と「回帰時の高水温」に起因したことで意見の一致を見た。
 また、日本系サケの来遊数の変動が、長期的な環境変動によるものか短期的要因によるものかについては今後の課題とした。
3 さけます類の研究開発等のニーズと取り組み  競争的資金獲得のための研究開発課題については、北海道区水産研究所から、現在進行中のサケ関係のプロジェクト研究2件が紹介され、各道県の検討状況の報告と併せて、意見交換を行った。意見交換の結果、自然再生産関連のニーズが高いことを確認し、その方向で検討を進めることとし、引き続きアイデアを募集することとした。
 また、その他として、昨年確認されたモニタリングデータの共有化に関し、これまで印刷物で配布していた「サーモンデータベース」の範囲内のデータをCDで配布することとし、配布したデータの取り扱いについて確認がなされた。

 
さけます関係研究開発等推進会議−成果普及部会
議題等 結果の概要
1 成果発表 (1)海洋環境とさけの回帰率・成長の関係
 
アーカイバルタグを用いた沖合でのサケの遊泳パターンや北太平洋・ベーリング海における海洋環境の特徴を紹介し、海面水温と北海道で放流・捕獲されるサケの成長や回帰率について解析した結果、サケが降海した時の海面水温が高い(低い)と回帰率は高い(低い)関係を示したことを報告した。

(2)採卵から浮上までの減耗抑制
 
サケ蓄養魚の成熟後の経過日数がふ化率に与える影響、また、蓄養魚を取り上げて死亡した後の経過時間や媒精後の経過時間がふ化率に与える影響の調査結果を報告した。

(3)放流魚と野生魚の共存を考慮したさけます類の資源保全技術の開発
 
第2期中期計画において、新たな遺伝学的分析により、日本系サケ個体群が北海道5地域および本州2地域に分かれることを再確認した結果や、耳石温度標識を用いた識別から得られた一部河川の野生魚と放流魚の比率を報告した。また、第3期に取り組む課題について紹介した。

2 情報提供 (1)平成22年度サケ来遊の総括及び今年度見込みについて
 
昨年の会議で情報提供したシブリング法と環境要因等を使った重回帰モデルによる平成22年度のサケ来遊見込みについて、見込み値と実際の来遊数を比較し、いずれも実際の来遊数が見込み値を下回る結果となったことを報告した。平成23年度のサケ来遊見込みについて、オホーツク・根室海区、太平洋、日本海の3地域別にシブリング法を使い推定した結果と、オホーツク・根室海区、えりも以西・本州太平洋の2地域別に環境要因等を使った重回帰モデルを使い推定した結果を紹介した。

(2)東日本大震災さけます復興支援について
 水研センター現地推進本部(さけますふ化放流チーム)が、岩手・宮城両県や両県の増殖協会からの要請に基づき行った被災したふ化場の現地実態調査、井戸能力パイロット調査等の復興支援活動を紹介した。今後、国の補正予算による岩手・宮城両県や両県の増殖協会が行う復興事業に対して技術的支援を継続することを紹介した。

3 本推進会議及び北水研業務に対する要望及び意見交換 (1)事前に提出された要望及び意見への対応
 県の財政事情が厳しい中で県営のふ化放流事業を行っている石川県水産総合センター(美川事業所)から要望されたふ化放流事業への支援策について、水産庁から、「県営ふ化事業への直接支援は難しく、強い水産業づくり交付金のなかのソフト事業を活用するなどの工夫を検討したい」と回答がなされた。

(2)当日会場で出された要望及び意見
 山形県鮭人工孵化事業連合会から、「昨年、本州日本海の多くのふ化場で回帰が不調の中、一部のふ化場では過去最高の回帰数となったが、この差はどのようなことで生じたものか」と質問があり、日本海区水産研究所より、「基本に忠実なふ化事業を着実に実行した結果であり、現地担当者が見落としていた誤り等を改善するなど、現場における技術の向上によるもの」と回答した。

 秋田県関漁業生産組合より、「国や県の支援が年々厳しく、漁業者からの協力もあまり期待できない状況で内水面の組合長としては事業をどうやって継続するかが最大の悩みである。この会場には優れた漁業関係の指導者が集まっておられるので、本県のような状況をどのようにお考えか」との質問があり、北海道定置漁業協会より、「北海道では、漁業者が資金を出し、その資金でふ化場のほとんどが運営されている。まずは海面と内水面の漁業者間でしっかり連携してほしい。また、我々にできることがあれば協力したい」と回答がなされた。

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さけます関係研究開発等推進会議
「成果普及部会」議事次第

  1. 挨拶
     主催者:水産総合研究センター理事 井上 潔
     来賓:水産庁増殖推進部研究指導課課長補佐 伊集院 兼丸
  2. 議事

    (1)成果発表

    1. 海洋環境とさけの回帰率・成長の関係
       
      北海道区水産研究所 生産変動グループ長 東屋 知範
    2. 採卵から浮上までの減耗抑制
       
      北海道区水産研究所 ふ化放流技術グループ長 伴 真俊
    3. 放流魚と野生魚の共存を考慮したさけます類の資源保全技術の開発
       
      北海道区水産研究所 繁殖保全グループ長 大熊 一正

    (2) 情報提供

    1. 平成22年度サケ来遊の総括及び今年度見込みについて
       
      北海道区水産研究所 資源評価グループ長 斎藤 寿彦
    2. 東日本大震災さけます復興支援について
       
      北海道区水産研究所 業務支援課課長補佐 伊藤 二美男

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