NASREC:独立行政法人 水産総合研究センター さけますセンター
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スプリング・サイエンスキャンプ2010

スプリング・サイエンスキャンプ2010を開催しました

高校生のための体験型合宿プログラム「スプリング・サイエンスキャンプ2010」を2010(平成22)年3月23日から25日までの3日間、さけますセンターにおいて開催しました。

この「サイエンスキャンプ」は、次代を担う高校生を対象に、先進的な研究施設や装置がある研究現場等で、第一線の研究者や技術者からの直接指導による講義や実習などを通じて、科学技術に関する興味・関心を高め、知的探求心を育てることを目的に、(独)科学技術振興機構が毎年開催しているものです。

さけますセンターでは、食材として身近なさけます類を通して、資源管理の必要性とそのために必要な生物学などに関心をもってもらうため、「さけます類の生物・生態学と資源管理技術 入門コース」と題して2008年より受け入れており、3回目となる今回は、全国の応募者の中から選ばれた8名の高校生が参加しました。


(1日目)導入講義

1日目は、「さけます入門」として、さけます類の分類から生活史、人工ふ化放流、資源変動についての講義からスタートし、「通し回遊するサケの海水適応能などの生理学特性」や「幼魚の餌となるプランクトンと海洋環境」について実習を交えた講義、キャンプのメインテーマである資源管理技術のための基礎的調査である「年齢組成調査」と「耳石温度標識」についての講義を行いました。


熱心に講義を聞く参加者


ベニザケ幼魚の採血実習(意外と難しい・・・)。


顕微鏡で観察しながら、 海のプランクトンをスケッチ


(2日目)実習

2日目は、実際にふ化放流を行っている千歳事業所に場所を移し実習を行いました。石狩川水系千歳川に溯上した親サケから鱗や耳石(頭部にある石状の器官)を採取して観察用標本を作製し、鱗による年齢査定、耳石に施された標識の観察を行いました。また、実習の一環として、実際にサケの飼育を行っている施設を見学、給餌体験を行いました。


サケ親魚からのサンプルの採取。左はウロコ、右は耳石を取り出しているところ。


今回使った♂のサケ


サケの解体、講師の説明に興味津々。


思いがけない珍客到来。(これぞまさしくタヌキ寝入り)


観察用の標本作製。左はウロコ(裏表を確認中)、右は耳石。「気泡が入らないように」。


ウロコ標本での年齢査定。「さあ、これは何年魚かな?」


千歳事業所の飼育施設の見学。右は3日後に放流予定のサケ稚魚への給餌体験。


卵で水温を変化させ耳石温度標識を付ける装置。


まだ雪が残る千歳事業所。この日は天候には恵まれ、暖かい1日となりました。


(3日目)資源解析とまとめ

3日目は、前日の実習で得たサケの年齢のデータを整理し、過去のデータも使用して、2人ずつに分かれパソコンを用いて資源分析のグラフを作成し、それからわかることをグループごとに考察して発表しました。皆、とても熱心に取り組み、短時間にもかかわらず、それぞれの視点で的確にポイントを捉えた発表となりました。

講義は専門的な部分も多く、短期間で理解するには難しいものがあったと思われますが、参加者からは「貴重な体験ができて、楽しかった」「今まで知らなかったことがよく理解できた」と概ね好評でした。中には、「サケが好きになった」「他の魚種の資源や環境について学びたい」「今後の学校での活動や将来に生かしていきたい」といった前向きな感想も寄せられ、今回のサイエンスキャンプを通じて、さけますに対する理解を深めただけなく、水産、科学技術に対する関心を高めるきっかけになったのではと思います。

この経験が参加者の今後に生かされ、将来、水産分野で活躍する人材に育ってくれることを期待しています。


パソコンを使用して分析中。するどい質問に講師も感心。



分析した結果をグラフで発表。各自、ポイントをついた内容で、大変よくできました


当センター所長から修了証を授与し、参加者全員の笑顔でキャンプを終了。