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平成13年度さけ・ます資源管理連絡会議のアンケ−ト調査結果

PDF形式ファイルもあります.印刷するにはこちらをお勧めします.[アンケート結果27KB,調査票28KB]


はじめに

  独立行政法人さけ・ます資源管理センタ−(以下「センタ−」という。)では、センタ−に対する要望・意見等を把握するため、本年9月、さけ・ます類のふ化放流事業を実施している都道府県の行政機関(以下「行政機関」という。)、試験研究機関(以下「研究機関」という。)及び民間増殖団体(以下「民間団体」という。)を対象に、アンケ−ト調査を行った。

  アンケ−トの質問事項は別掲のとおりである(PDF形式,28KB)。今回は、センタ−の刊行物、ホ−ムペ−ジ、今年はじめて開催した「さけ・ます資源管理連絡会議」及び技術指導について、選択式の項目と要望・意見等を記入する項目を設け、関係機関のニ−ズ等の把握に努めた。

  平成13年10月末までに回答があったのは、表1のとおりで、回収率は72.9%であった。民間団体からの回答率が低かったが、これは、アンケ−トの実施が9月と捕獲採卵業務の繁忙期と重なったためと思われる。以下、順を追って結果を紹介する。

表1 アンケート調査実施状況

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1 センタ−刊行物について

 センタ−の刊行物は5種類あり、それぞれの目的、配布先は表2のとおりである。これら5種類の刊行物について、知名度(問1)と利用度(問2)に関して質問した。

表2 センター刊行物の目的と配布先

 知名度については、図1に示したとおり、業務報告が88.6%、技術情報が85.7%、研究報告とセンタ−ニュ−スが77.1%、サ−モンデ−タベ−スが68.6%と、いずれの刊行物も比較的よく知られており、特に業務報告と技術情報がよく知られていた。なお、民間団体では刊行物によって知名度にバラツキが見られたが、これは民間団体によっては配布されていない刊行物もあることから、このようなバラツキが生じたものと考えられる(表2)。

図1 センター刊行物をご存じですか

 次に、問1で「知っている」と回答した機関における刊行物の利用度は、図2に示したとおりである。サ−モンデ−タベ−スが62.5%、業務報告が48.4%、センタ−ニュ−スが44.4%、技術情報が33.3%、研究報告が25.9%となっており、サ−モンデ−タベ−スは60%を超える機関でよく利用されていた。その他の刊行物は50%以下であり、技術情報と研究報告は40%以下という結果であった。

図2 よく利用する刊行物はどれですか

 しかしながら、表2に示したとおり刊行物によってその目的や配布先が異なり、その利用状況を知るには機関別に見ることが適当と考えられることから、表3に機関別に刊行物の利用状況を示した。民間団体では業務報告(87.5%)が、研究機関ではセンタ−ニュ−ス(66.7%)とサ−モンデ−タベ−ス(66.7%)が高い割合で利用されており、行政機関ではサ−モンデ−タベ−ス(50.0%)、研究機関では技術情報(46.2%)がほぼ50%の割合で利用されている。なお、研究報告は全体では25.9%と低かったが、配布されている研究機関の40%以上で利用され、さらにアンケ−ト調査の対象となっていない国内外の研究機関や大学にも配布されていることを考慮する必要がある。技術情報については、研究機関では 50%近く利用されていたが、民間団体では10%程度の利用にとどまっていたのが特徴的である。

表3 問1で知っていると回答した機関別の利用度

 次に、「よく利用する刊行物で、利用する内容」(問3)、「刊行物について、改善や追加してほしい内容」(問4)について、意見・要望を記入して頂いた。

 業務報告書については、行政機関や民間団体で「ふ化放流事業実績」が、研究機関で「調査研究、技術開発結果」がよく利用され、民間団体からは、平成8年度まで「事業成績」に掲載していた「河川別のふ化放流実績」の提供が要望された。

 研究報告と技術情報については、本州日本海側の研究機関で「サクラマスに関する調査研究」がよく利用されており、その充実が要望された。さらに技術情報については、行政及び研究機関で「さけ・ます増殖や資源管理技術の情報源」としてよく利用されており、「技術マニュアルの作成と配布」が要望された。また、後述する「センタ−業務全般に対する意見・要望」の中にも、「ふ化放流マニュアルの作成」や「サケ人工孵化放流事業:百問百答(本州鮭鱒発行)の改訂版」がある。

 センタ−ニュ−スについては、行政及び研究機関で「調査研究の最新情報」、「さけ・ます類を取り巻く国際的な環境」等としてよく利用されており、「魚価などの漁業経済情報」や「ふ化場でも利用できる情報」の提供が要望された。

 最後に、デ−タベ−スについては、行政及び研究機関で「ふ化放流実績」や「モニタリング調査の結果」を他県と比較するためによく利用されており、「デ−タベ−スの活用例や解説」や「ファイル形式での配布」が要請された。

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2 ホ−ムペ−ジについて

 本年4月1日にホ−ムペ−ジを開設したが、その利用度を把握するため、「センタ−のホ−ムペ−ジを利用していますか」(問5)との質問を行った。図3に示したとおり、「よく利用する」、「ときどき利用する」が47.1%、「あまり利用しない」が52.9%と、ほぼ半々の利用状況であった。「あまり利用しない」と回答した機関の約半数が民間団体であり、民間団体には、パソコンがあまり普及しておらず、このことがこのような割合につながったものと考えられる。なお、パソコンが普及している行政及び研究機関においては、「よく利用する」、[ときどき利用する」が62.5%と比較的よく利用されていた。

図3 センターホームページを利用していますか

 ホ−ムペ−ジの運営開始から半年あまりが過ぎ、その間14回にわたり掲載内容の充実を図ってきたが、次に、「ホ−ムペ−ジに掲載してほしい内容」(問6)について、意見・要望を記入して頂いた。研究機関を中心に、「調査研究業績のキ−ワ−ド検索」、「所蔵図書検索」、「各種刊行物のPDFファイル化」、「調査研究マニュアルのバ−ジョンアップ」などの要望が出された。

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3 さけ・ます資源管理連絡会議

 さけ・ます資源管理連絡会議(以下「連絡会議」)は、センタ−の業務内容や成果の普及及び業務に対する要望等の把握を目的に、国の行政機関、都道府県の行政・研究機関、独立行政法人の研究機関、民間団体、受益者である漁業団体などに参加をお願いし、本年8月30日に札幌ではじめて開催した会議である。参加された機関に、連絡会議の評価及び改善に関して、4つの質問を設けた。

 まずはじめに、「連絡会議は業務に役立つ内容でしたか」(問7)と質問し、「あまり役立たなかった」と回答された方に、その改善点を記入(問8)して頂いた。図4に示したとおり、「役に立つ内容であった」(92.0%)と高い評価が得られた一方、改善点としては、「報告会の色彩が強すぎる」、「民間ふ化場に合った実践的な内容を」、「専門用語が多くわかりづらい」などの意見が、主に民間団体から出された。

図4 資源管理連絡会議が業務に役立つ内容でしたか

 この連絡会議では、「サケ資源の来遊状況」及び「ふ化放流の実施状況と沿岸環境の概況」を、毎年、関係者に情報提供することとしているが、この内容について、「業務に役立つ内容でしたか」と質問(問9)し、「あまり役立たなかった」と回答された方には、その改善点を記入(問10)して頂いた。図5に示したとおり、「役に立つ内容であった」(92.0%)と高い評価が得られ、特に、改善の要望もなかった。

図5 毎年報告予定の課題が業務に役立つ内容でしたか

 また、この2課題については、会議当日に参考資料を配布したが、この資料について、「業務に役立つ内容でしたか」と質問(問11)し、「あまり役立たなかった」と回答された方には、その改善点を記入(問12)して頂いた。なお、この質問については、当日会議に欠席された機関に対してもアンケ−ト調査票に同封して参考資料を送付していることから、意見を聴いた。図6に示したとおり、 「役に立つ内容であった」(89.7%)と高い評価が得られた一方で、改善点としては、「図の説明がほしい」、「地域区分が大きすぎる」との意見が出された。また、議事次第に添付した発表要旨に関しても、「図表の添付を」との要望も出された。

図6 会議資料が業務に役立つ内容でしたか

 次に、「連絡会議で、今後採用してほしい課題は?」と質問(問13)し、意見・要望を記入して頂いた。寄せられた回答には、「サクラマス増殖技術や資源状況」、「沿岸環境と各海域毎の放流適期を考慮した増殖体制」、「サケ稚魚の健苗基準」、「耳石温度標識の影響や資源評価」などが出された。

 本年の連絡会議の開催時期については、行政機関から北水研が主催する「さけ・ます研究会」との共同開催の要望が出されていたことから北水研と日程を調整し、沖合域のさけ・ます類に関する情報を提供できる時期ということで8月下旬となった。しかしながら、この時期は、秋サケ漁業や親魚の捕獲事業が始まっているところもあり、「開催時期として適当か」(問14)を質問した。図7に示したとおり、「8月下旬でよい」(87.1%)となり、開催時期については適当とする意見が多かった。

図7 会議開催時期は8月下旬でよろしいですか

 最後に、「連絡会議に対する意見、要望」(問16)を聴いたところ、行政機関から「水産庁のさけ・ますふ化放流担当者会議との共同開催」の要望が出された。

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4 技術指導

 センタ−は、北海道では民間ふ化場が整備され始めた昭和40年代から、本州日本海側の各県では平成元年から民間ふ化場への技術指導を行っている。また、平成9年からは、本州太平洋側の各県でも技術指導を行うようになっている。

 まず、はじめに「センタ−の技術指導を受けていますか」(問17)と質問し、受けていない場合には、「受けていない理由」(問18)を記入して頂いた。さけ・ますふ化放流事業を行っている都道府県のうち、センタ−が技術指導を行っていない県は、岩手県、茨城県、石川県の3県のみであり、その理由としては、石川県では、「県営」であること、茨城県では、「生産規模があまりにも小さく、北海道型の増殖技術を受け入れられない」ことを挙げている。なお、岩手県は、平成13年からセンタ−の技術指導を受けることとなっている。

 センタ−の技術指導を既に受けている関係機関の満足度を把握するため、「センタ−技術指導内容に満足していますか」と質問(問19)し、満足していない場合には、要望する指導内容(問20)を記入して頂いた。図8に示したとおり、研究機関1カ所を除きセンタ−の技術指導内容には満足しているとの回答であった。要望としては、「県の技術指導内容と重複しており、より独自色を出してほしい」が出された。

図8 センターの技術指導に満足しているか

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5 センタ−の業務全般について

 最後に、「センタ−から提供してほしい成果や情報を」と質問(問21)し、 ほとんどの機関から多くの要望が出された。もっとも多い要望が「来遊予測」、「予測手法の精度向上」、「餌生物環境と稚魚の生残との関係」などの来遊資源の評価に関するものが7件、次いで、「健苗判定基準などのふ化場技術レベルの数値化」、「ふ化放流技術マニュアルの作成」などふ化放流技術に関する要望が5件、その他に、「デ−タベ−スのとりまとめの簡素化とファイル形式での配布」、「国際的な資源状況」などが各2件となっている。

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6 まとめ

 今回のアンケ−ト調査から、以下のとおりの結果が得られた。

(1)刊行物については、知名度は高く、刊行物の性格に応じて、行政機関ではサ−モンデ−タベ−スが、研究機関ではサ−モンデ−タベ−ス、センタ−ニュ−ス、技術情報が、民間団体では業務報告が比較的よく利用されていた。技術情報は、民間団体にも広く配布されているが、その利用状況は10%程度と低く内容の改善等の必要性が示唆された。なお、今後、追加してほしい内容としては、「河川別のふ化放流実績」、「技術マニュアルなどふ化場でも利用できる情報」、「魚価などの漁業経済情報」などの要望が出された。

(2)ホ−ムペ−ジについては、パソコン通信の設備が比較的整備されている行政・研究機関に限定した場合にはよく利用されていた。関係機関からは、「調査研究業績のキ−ワ−ド検索」、「所蔵図書検索」、「各種刊行物のPDFファイル化」「調査研究マニュアルのバ−ジョンアップ」などの要望が出された。

(3)連絡会議については、会議、開催時期、採用した課題とその資料とも、関係機関から高い評価が得られた。しかしながら、関係機関からは、「報告会の色彩が強すぎる」、「わかりやすい内容を」との意見が出され、また、採用してほしい課題としては、「サクラマス増殖技術や資源状況」、「沿岸環境と各海域毎の放流適期を考慮した増殖体制」、「サケ稚魚の健苗基準」、「耳石温度標識の影響や資源評価」などの要望が出された。

(4)技術指導については、ほとんどの関係機関から高い評価が得られた。

(5)センタ−業務全般については、関係機関から多くの要望が出されており、特に「来遊資源の評価」に関する要望が多かった。

 これらアンケ−ト調査の結果については、可能なものについては次年度の業務に反映させるなど、今後の業務運営に生かしたいと考えております。なお、具体的な内容については、今後の検討を進めることとなりますが、その内容については業務報告などを通じてお知らせしたいと考えております。最後に、お忙しい時期にもかかわらず回答を寄せて頂いた関係機関に改めて感謝申し上げるとともに、今後とも、センタ−の業務に対するご支援、ご協力をお願い申し上げます。

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