NASREC:独立行政法人 水産総合研究センター さけますセンター
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平成15年度アンケート調査結果

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[アンケート結果41KB,調査票31KB,調査対象機関7KB]


はじめに

独立行政法人さけ・ます資源管理センター(以下「センター」という)では,センターに対する意見・要望等を把握するため,平成15年8月,さけ・ます類のふ化放流を実施している道県の行政機関(以下「行政機関」という),試験研究機関(以下「研究機関」という),及び民間増殖団体(以下「民間団体」という)を対象にアンケート調査を実施した.

この対象機関は,センター平成15年度計画で定められたものであるが,平成15年度さけ・ます資源管理連絡会議(以下「15年度連絡会議」という)に出席いただいた水産庁,独立行政法人,受益者団体,農水省独立行政法人評価委員会水産分科会委員及びセンター機関外部評価委員の方々(以下「計画外対象者」という)からも意見を聞いた.

アンケートの内容は,センターが発行する6種類の刊行物とホームページ,15年度連絡会議及びセンターの業務についての質問であり,5段階の選択式を基本とし,それぞれの質問に対し意見・要望等を記入する項目を設けた(調査票参照).

アンケート調査票は表1のとおり54機関に配布し,平成15年10月までに47機関から回答があった.また,計画外対象者8名の方々から,15年度連絡会議とセンターの業務について意見・要望をいただいた.

表1.アンケート調査実施状況

以下に,15年度計画の対象機関からの回答を中心にアンケート調査結果を示す.なお,5段階評価の最上位を5点,最下位を1点として平均点を計算し,満足度を数値化して示した.

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刊行物について

センターの刊行物は6種類あり,それぞれの目的と配布先は表2のとおりである.これらについて満足度を5段階で評価していただき,良い点,改善すべき点などの意見を求めた.5段階評価は,ア「役だっている」,イ「まあまあ役立っている」,ウ「どちらとも言えない」,エ「あまり役立っていない」,オ「役立たない」とした.

表2.センター刊行物の目的と平成14年度配布状況

センターの広報誌であるセンターニュース(愛称:salmon)は,「役立つ」との回答が51%と非常に高く,「まあまあ役立つ」を含めた有用である(以下,ア+イを「有用」と表現する)との評価を8割以上の方からいただいた(満足度4.32).民間団体では「どちらともいえない」との回答も多かったが,行政機関,研究機関,民間団体の調査区分による差は他の刊行物と比べて最も小さかった.主な役立つ点としては,さけ・ますについての「最新の情報が入手できる」「国際情勢が解る」などがあげられた.また,少数意見ながら民間団体からは「増殖技術」や「身近な話題」の掲載の要望もあった(図1-a,表3-a).

対象を道県機関とする技術情報(愛称:魚と卵)は,その8割以上から有用との回答を得た(満足度4.32).さけ・ます増殖に関する情報源として役立っているとの意見が多かったが,「海外の情報のさらなる充実」,「堅苦しくない読み物的な記事の掲載」,「活字サイズ(製本サイズ)の改善」などが求められている.また,本誌は多くの民間団体にも配布しているが,ここでは利用度が低かった(民間含む満足度は4.08).その理由としては,「現場向きではない」「内容が難しい」等だった(図1-b,表3-b).

業務報告書は,全体的に有用度は低く,有用であるとの回答は65%であった(満足度3.84).他の刊行物と比べ「役立っていない」「役立たない」(エ及びオ)の割合が高く10%を超えた.研究機関ではセンターの業務内容を参照するために活用されているが,他では利用度は低い.「業務報告書の性格上やむを得ない」と理解されてはいるようだが,具体的な成果を分かり易く記述することが要望されている.なお,民間団体での利用度が高いのは,巻末資料編のさけますふ化放流と来遊状況のデータが良く利用されているためのようである.(図1-c,表3-c).

研究報告は,配布先が試験研究機関にほぼ限られているが,それ以外でも希望する機関には配布している.対象である研究機関では,有用であるとの回答が84%と高く,さけ・ますに関する最新の研究報告としてよく参照されている(満足度4.32).要望としては,さけ・ます増殖の現場にも還元できるような研究内容の充実などがあげられた(図1-d,表3-d).

行政機関および研究機関向けのサーモンデータベースは,両区分ともに約60%から有用との回答があり,主に「他県の放流・来遊状況等を知りたい」という機関によく利用されているようである(満足度3.71).また,「どちらとも言えない」との回答のなかにも,「利用度は低いが,長年にわたってデータを定型的に蓄積することは重要」というような意見も複数あった(図1-e,表3-e,).ふ化放流データについては,13年度のアンケート調査を受け,円滑なデータ収集を目的として様式の簡略化などの改善を図った.それに対する意見を求めたが,ほとんどが「改善された」との好意的な回答であった(68%).

さけ・ます通信は,平成13年度のアンケート調査に応えて,民間ふ化場担当者のための増殖技術情報として翌14年9月に創刊し,民間団体,行政機関及び指導研究機関に配布している.対象である民間団体の約8割から有用との回答をいただいたが(満足度4.21),「基本的すぎて物足りない」との意見も少数あった.行政機関の有用度は高くないが,指導担当の研究機関からは73%の有用との回答が得られた(全体の満足度は3.97).また,「図や写真を多用した分かり易い記述」,「成功,失敗の事例報告の掲載」などが要望されている(図1-f,表3-f).

図1.センターの刊行物は役立ちますか?

表3.刊行物についての回答と満足度

 

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ホームページについて

センターホームページは,平成13年4月の開設以来,アンケート調査等の要望に従って随時改善し,「刊行物のPDFファイル」,「さけ・ます来遊資源情報」,「流通情報」を掲載するなど,内容の充実を図ってきた.

ホームページについては,刊行物同様の設問の外に,その運営,改善に対する意見等もいただいた.研究機関からは有用との回答が9割を占めたが,行政機関及び民間団体においては有用との回答は50〜60%と低かった(満足度4.05).民間団体においてもインターネット接続が整備されつつあるようだが,業務多忙等の理由から,じっくりホームページを閲覧できる環境にないことも利用度が低い原因と思われる.また,インターネットの利用が可能(44機関)であっても,センターホームページを「閲覧したことが無い(無かった)」という機関が4カ所あった(図2,表4).内容としては,「さけ・ます情報」(来遊状況,流通情報等)や「PDF化された刊行物」がよく利用するものとしてあげられた.ホームページの運営についての問では,「よく取り組んでいる」が66%,「取り組みが不十分」が1件(3%)のみであり,高く評価されているようである(3段階評価).

今後,ホームページの内容を充実させるにあたって意見を聞いたところ,「Q&Aコーナー」,「ふ化放流技術に関する内容」の掲載希望が複数件あり,また,未掲載である古い年代の刊行物のPDFファイル化も求められた.

図2.センターホームページは役立っていますか?表4.ホームページについての回答と満足度

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平成15年度さけ・ます資源管理連絡会議について

平成13年度から数えて3回目となった平成15年度連絡会議は,過去のアンケート調査を踏まえて改善を行った.今回のアンケートでは,15年度連絡会議の内容及び資料について5段階の評価と過去の会議からの改善に対する評価(3段階)ならびに意見・要望等をいただいた.また,次年度の開催時期についても希望を聞いた.

内容については,「役立つ」が42.5%,「まあまあ役立つ」が45%であり(満足度4.30),配布資料の有用度も85%と高かった(満足度4.18)が,その反面,改善の要望も多かった.調査区分ごとに回答の傾向をみると,行政機関では,「サケ来遊資源の評価」が役立つ内容としてあげられた.研究機関の多くは,「資源の評価」の外に「北太平洋の資源と海洋環境」を役立つ内容としてあげている.民間団体からも概ね「まあまあ役立つ」以上の評価をいただいたが,「研究者向けの内容がほとんど」,「実践向きではない」,「ふ化場担当者からの発表も欲しい」などの意見が聞かれた.また,配布資料については,各区分とも80%以上から有用であったとの回答が得られ,好評を得たことがうかがわれたが,さらなる配付資料の充実を求める意見が多かった(図3,表5).

改善に対する評価では,会議及び資料の分かりやすさについては9割以上の方から「分かりやすくなった」との評価を受けた.会議の進め方についても,多くの方から「改善された」と評価をいただいたものの,15年度連絡会議からの改善点,@道県からの情報提供を拡大し,A意見交換の時間を多く設定したことに対し,「テーマが多すぎる」,「内容を絞ってほしい」,「規模が大きすぎるため意見交換が難しい」などの意見もあった.

今後取り上げてほしい課題としては,「増殖や漁業体制の先進事例」,「各種標識による回遊経路等の解析」,「水生菌や寄生虫症の防除技術の開発」があげられている.また,会議に対する意見・要望として,研究機関からは「北海道区水産研究所の会議との連携」,「サクラマス等分科会の設置」などが,民間団体からは「増殖事業の実施に役立つ調査研究結果の提供」が出された.

開催時期については,15年度と同様「8月上旬で良い」との回答が7割を占めた.それ以外の時期としては7月中旬の開催を希望したのが最も多く,4機関あった.8月上旬を避けたい理由の多くは,夏休みや東北地方の祭りと重なるために航空券の予約が非常に困難となるためとのことであった(7機関).

図3.&表5.平成15年度さけ・ます資源管理連絡会議について

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技術指導について

センターは,北海道では昭和40年代から,富山県以北の本州日本海側の各県では平成元年から民間ふ化場への技術指導を行っている.本州太平洋側においては,平成9年から宮城県と福島県,13年から岩手県の民間ふ化場にも技術指導を行っている.本アンケート調査では指導内容及びセンターが実施する講習会等についての満足度を5段階で評価していただくとともに,これらに対する意見を聞いた.

指導内容については,それぞれの調査区分とも80%以上の機関から「満足している」,「まあまあ満足している」との回答をいただいた(満足度4.26).「どちらといえない」〜「満足していない」は研究機関,民間団体でそれぞれ2件だった.講習会等についても指導内容の評価とほぼ同等の満足度(4.11)であったが,民間団体で満足度3.85と若干低かった(図4,表6).また,指導回数については,「取り組みが不十分」との回答はなく,「取り組みが十分」,「普通」との回答が,それぞれの調査区分でほぼ半数ずつであった(3段階評価).技術指導についての要望としては,指導内容の理解を深めるという意味で,「指導内容の報告の迅速化」等があげられた.

図4.&表6.センターの技術指導について

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センターの業務について

(1) ふ化放流の実施について

系群保全のためのふ化放流について,北海道内の行政,研究機関と民間団体の数機関からその問題点を指摘され,系群保全河川も漁業資源を造成しているという認識をさらに強く持つよう要望された.

(2) 調査および研究について

生物モニタリング調査については,継続,充実,データの有効活用を求める意見が多かった.また,耳石温度標識放流の標識魚回収調査に関する意見が非常に多く,本調査への期待が大きいことがうかがわれた.

調査研究については,資源変動要因の解明,来遊予報の精度向上のための研究や回遊経路の解明について多くの機関から期待された.民間団体からは増殖事業に結びつくような研究を求める声が聞かれ,経済的管理に関する研究をさらに進めるよう要望があった.

技術開発については,平成15年7月の薬事法改正に伴い,これまで利用してきた水生菌および寄生虫に対する薬品が使用できなくなることから,代替薬の開発や薬剤に頼らない種卵・稚魚管理技術の確立等,現実的な対応策の開発を早急に進めるよう,非常に多くの機関から要望された.他に健苗性の検討方法の確立についても複数の機関から要望された.

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まとめ

今回のアンケート調査の結果をまとめると以下のとおりとなる.

  1. 刊行物については,何れもよく利用されているようであり,特に対象とする調査区分での満足度は高かったが,各刊行物にほぼ共通して「分かり易さ」,「使い易さ」が求められている.
  2. ホームページについては,平成13年度の開設当初でのアンケート調査時と比較して確実に利用度が増していることがうかがわれたが,「Q&Aコーナー」の新設等,さらなる内容の充実が期待されている.
  3. さけ・ます資源管理連絡会議については,内容・資料とも高い評価を得たが,「テーマの絞り込み」を要望する意見が多かった.民間団体からは「増殖事業者向けではない」との意見もあり,分かり易い説明と資料を求められている.また,会議の形式に対して,道県機関から他のさけ・ます関連の会議との連携や分科会設置の提案もあった.
  4. 技術指導については,指導内容及び講習会とも満足度が高かった.
  5. センター業務への意見・要望としては、やはり近年のさけ・ます増殖事業が抱える問題(薬事法改正,系群保全等)への対応に関するものが多かった.また,耳石温度標識放流調査の今後の展開への期待が大きいことがうかがわれた.

おわりに

以上のようにアンケート調査結果をまとめましたが,可能なものについては次年度の業務に反映させるなど,要望にお応えしていきたいと考えております.その具体的な対応方法は後ほど業務報告書などを通じてお知らせすることになります.

最後に,大変お忙しい時期にもかかわらず,アンケート調査にご協力いただいた各機関の方々に感謝申し上げるとともに,今後ともセンターの業務に対するご支援,ご協力をお願い申し上げます.

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